研究表彰事業

2023年度の千葉看護学会表彰論文は、以下2件の論文に決定しました。
受賞者に表彰状と副賞を授与しました。

受賞者(筆頭著者)

岩田 尚子 氏

論文タイトル

外来化学療法を受ける高齢がん患者と共に訪問看護の導入を検討するための指標開発

受賞の理由

本論文は、がん患者の75%を占める高齢者に焦点を当て、外来化学療法を受ける高齢がん患者の訪問看護導入を検討する過程を支援する指針を開発したものである。高齢がん患者への訪問看護導入という着眼点はこれまで着目されてこなかった観点であり、その新規性が高く評価された。緻密な研究段階を経て開発された指針は、看護過程展開の枠組みを元に3つの時期に分けて構成されており、外来看護師が活用可能な指針となっている。また外来看護と訪問看護の連携を促進する指針であり、今後さらに増加するであろう高齢がん患者へのケアとして、患者の人生に着目し、本人の価値観を尊重しながら継続的に関わることを可能とするものと期待され、本学会の理念である実践と研究の往還につながる研究と認められる。今後、実践現場での活用とその評価、普及が期待される。

受賞者のご挨拶

本論文は、外来看護師が外来化学療法を受ける高齢がん患者と共に訪問看護の導入を検討するための指針の開発について記述したものです。調査にご協力いただいた外来看護師や訪問看護師の皆様に、心より感謝申し上げます。本指針を外来看護師にご活用いただくことで、高齢がん患者が自身の望む治療や生活を、できるだけ早い段階から考えたり外来看護師と繰り返し考えたりすること、高齢がん患者が自ら選択した人生を歩まれることの一助となりましたら幸いです。今後も本研究課題に取り組み、研究成果の発展や普及に努めてまいりたいと思います。この度は誠にありがとうございました。

受賞者(筆頭著者)

小熊 亜希子 氏

論文タイトル

介護老人保健施設入所者の誤嚥性肺炎の包括的ケアを促す看護モデルの開発

受賞の理由

本研究は、介護老人保健施設入所者の誤嚥性肺炎の包括的ケアを促す看護モデルの開発に取り組んだものである。研究成果である看護モデルには、誤嚥性肺炎の早期発見と重症化予防に向け、入所から看取り期までの各段階で取り組むべき実践内容が詳細に示されており、看護職のみならず介護職にとっても活用しやすく、実践現場での汎用性が高いことが評価された。誤嚥性肺炎の早期発見と重症化予防は高齢者のQOLに大きく影響するものであり、本研究成果の活用により、看護職の少ない介護老人保健施設での誤嚥性肺炎予防が期待され、本学会の理念である実践と研究の往還につながる研究と認められる。今後、実践現場での活用にむけて洗練と普及が期待される。

受賞者のご挨拶

名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。関係の方々のお力添えのおかげです。この研究では、介護老人保健施設入所者の誤嚥性肺炎(肺炎)の確実な予防から発症まで途切れないケアが一目で分かるようにしました。入所者の状態・状況に応じて、看護師が何を考え、行動すべきかが明確になり、先の見通しを立てることができます。高齢者の肺炎を確実に予防でき、残された時間をその方らしく最期まで生ききれるように研究成果を発展・普及につなげたいと思います。

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